リアルとバーチャルの有機的な融合
内容に関しては 財団法人少林寺拳法連盟 の正式な見解ではありません。 【サイト・オーナーへメールサイト・オーナーへメールする    
■2004年 福島春合宿の記録 2004/4/24-25
章へジャンプ→  開催のお知らせ|北上今年もがんこそば一泊二日のシンポジウム再会超誘導法2年ぶりの吉四六先生書は言を尽くさず、言は意を尽くさず実戦用押受突柿の葉の天ぷら夕食夜の部ゴミ問題を考える正義のために教えなさい新バージョン締めは小松先生の法話やっぱ焼肉でしょ!健康人のための整法大成功?追って書きゼンジロウさんの感想春一さんの感想
■開催のお知らせ

<<2004年 福島春合宿 開催のご案内>>
 〜 地域を越えた交流で開祖デー活動を実践しよう 〜

地元福島の拳士とネットで集まった拳士との合同合宿+合同開祖デー活動というテンコ盛り盛りの企画です。全国の面白好き拳士は集まろう!
1泊2日の期間に練習あり、懇親会あり、シンポジウムありの充実スケジュール。楽しいことは待っていてもやってこない、さあ自分から乗り込もう!


拳士でなくても楽しめる村です。ご家族での参加も大歓迎です。


開催目的:「合掌礼ひとつで友達になれる」を実践する
参加資格:熱い心を持った拳士とその家族
■日時 2004年4月24日〜25日(1泊2日)
■場所 福島県鮫川村
   −宿泊:ほっとはうす鮫川
   −練習:トレーニングセンター
■集合 現地集合/現地解散
   *乗り合い、最寄り駅(白川駅)までの送迎ご相談にのります。
■スケジュール
13:00 集合
13:30〜16:00 練習(班別ローテーション方式)
18:00〜 夕食&懇親会
*各自大人の判断で就寝
4月25日
 6:30 起床&ラジオ体操
 7:00〜 8:00 朝食
 8:30〜11:30 勉強会
11:30〜12:30 昼食
12:30〜13:00 作務
13:00 解散

■概算費用 大人 10,000円
子供  6,000
  *宿泊費&食費&懇親会費の実費のみです。
■詳細連絡
  • 参加者限定の連絡用掲示板を設置します。その掲示板をとおして今後の連絡をします。
  • なお、皆さんに連絡が届いているか事務局側では把握できませんので、定期的な閲覧と、書き込みをお願いします。
■持ち物 道衣と遊び心と協調性
■ルール
  • 人に迷惑を掛けない。
  • 練習相手にケガをさせない。
■申し込み 事務局までメールにて下記をご連絡ください。
  • お名前
  • 簡単な自己紹介(所属、段位、参加の動機)

■北上

愛車のアコードUSワゴンにロングさんを乗せて常磐道を北上していた。今日明日と福島県鮫川村で地元福島鮫川道院とe-研ホームページで呼びかけて各地から集まった拳士達との合同合宿が行われる。

恒例にしようと決めたわけではない。だけどここのとこ3年連続の開催となっている。僕も今年は支部長となっているので支部の仲間に声を掛けて参加した。

日立南のパーキング・エリアで千葉から参加のゼンジロウさんが運転するエスティマと合流。こちらの車にはIBM支部から参加のパンダ研究所さん、ハムハムさん、春一さん、そして春一さんの娘さんで8歳になるミナちゃんが乗っていた。

■今年もがんこそば

僕らは「いわき勿来」のインターで降り、昨年のように「おやじがんこそば」の店に寄った。緑の深い国道沿いにいきなり店構えが現れる。

多くの人がざるそばを頼む中、僕は温かいたぬきそばを頼んだ。そういえば去年も温かいたぬきそばを頼んだような気がする。普段はかき揚げのせいろなどを好んで食すのだが、この店ではなぜだか温かいたぬきにひかれる。理由は分からない。

店内ではそばうちの様子がガラス越しに見られるようになっている。好奇心旺盛で人見知りをしないミナちゃんはハムハムさんや僕の手を引くようにしてそれを見に行った。

ガラスの向こうで職人が蕎麦をうっている。それを見ながら「縦横縦横と延ばして丸い団子を四角形に延ばしていくんだ」「ここでもたつくと生地が乾燥して切れてしまうんだ・・・」ミナちゃんにともハムハムさんにともつかず、僕は思い出す知識を口にした。蕎麦うちを見ているうちに、3年前にやった蕎麦打ち体験を思い出していたのだ。3年前に鮫川で合宿をやったときは鮫川道院の父兄の皆さんに教えてもらって皆でそば打ちをやった。僕らがうった蕎麦は太くて短かったけれども驚くほど美味かったっけ。

■一泊二日のシンポジウム

昨年は二泊三日で合宿を開催したが、今年は一泊二日のスケジュールにした。真っ先にカットされる対象は練習時間なので残念だが、鮫川での合同合宿では例年地元鮫川道院ご父兄の皆さんが食事の準備をしてくれる。でも、さすがに6回の食事準備では負担が大きすぎる。
また、参加する方としても「有休を使って3日間参加せよ」というと休みを取れない人が続出するだろう。そんなこともあって日程短縮は苦渋の決断だった。

だけど、単なる規模縮小では面白くない。どうせなら新しいことにも挑戦しよう。練習時間はいっそう減ってしまうことになるがシンポジウム形式を取り入れてみることにした。開祖デー月間は5月なので一週間ほど早いが、全国各地から地域、年齢、職域を超えて人が集まるのだ、意見交換をして、お互いの活動フィールドに戻ってから実践し生かしていくことは立派な開祖デー活動になるのではないだろうか。

■再会

鮫川村は広いが道がシンプルなので迷うことはない。まずは村役場を目指した。村役場の近くまで行くと会場となるトレーニングセンターの標識が簡単に見つかった。

トレーニングセンターに着くと外で待っていてくれたハジコン君の顔が見えた。昨年小学6年生ながらも堂々と合宿の幹事に名乗り出て大人たちの度肝を抜いた彼は、今年中学に進学した。少し頬が落ちて子供だったハジコン君の顔が少年のそれになっていた。

道衣に着替えてアリーナに入ると子供達と遊ぶりょっきーさんの姿が目に飛び込んできた。短く刈り込んでやや茶髪、丸くて人懐っこそうな目。全然変わってなかった。今年も青森から愛車のミニで7時間掛けての参加だ。そのりょっきーさんを囲むように昨年も見かけたワンパク小僧達がいた。


小松先生の準備体操

超誘導法で投げてみる
皆で輪になって自己紹介をする。e-研の交流会ではいつもそうなのだが、親密度を高めるために何度も自己紹介をすることにしている。おまけに「相手の名前を何度確認してもよい」というルールも作った。せっかく集まったのだから名前を聞けなくて会話ができなかったなんてことになったら勿体ない。

練習は大きく2グループに分かれて行うことにした。鮫川の子供達は小松先生の指導のもと大会に向けて演武の練習を、全国から集まってきた大人チームは柔法マットを敷いて投げの練習をした。もちろん中学3年生のマスコンさんも中学1年生のハジコン君も大人チームだ。

福島鮫川道院の小松先生は整体のお仕事のかたわら現在整体の学校に通っている。今日も講義のため、3時には一旦上がらなくてはならない。代わりといってはなんだが、2時過ぎには吉四六先生が来てくれるという。吉四六先生とお会いするのは2年ぶりになる。創成期からの少林寺拳士で開祖より「東北に少林寺拳法を広めよ」と言われた3人のうちの一人、八段の先生だ。
本当は今年も参加できそうにないと小松先生から聞いていた。別の用事がダブっていたらしいのだか、幸い昨夜で全部片付いたらしい、急遽参加してくれることになった。

■超誘導法

今回は練習時間が短い。これは仕方の無いことで、その短い練習時間を何にあてようかと考えていたが、もっとも優先順位が高いことといったら、やはり叩かれてみたり、投げられてみたりする経験ではないだろうか。だから今回も「投げられてみる」を皆で体験してみたかったし、もっと時間があれば二重面、二重胴をつけて叩かれてみるも体験したいと考えていた。

今回は僕が所属するIBM支部からも数名の部員が参加している。普段の練習は会社の会議室を利用しているため倒すことはしても、投げることはしていない。床のカーペットをめくればコンクリートだ。昔から拳法をやっている方ならいざ知らず、サラリーマンのリハビリでいきなりコンクリに投げ落とされては健康増進どころではなくなってしまう。しかしこのトレーニングセンターには鮫川道院の柔法マットがある。せっかくのチャンスだ柔法マットを借りて投げ技を体験してもらおう。

まずは巻小手の形での「投げてみる」「投げられてみる」の体験からだ。普通は守者が「ちがう、ちがう、そうそう、そこ」と声で誘導するのが誘導法と言われている。e-研交流会などで僕らがやるのはもっと極端に攻者が協力する方法だ。守者は何もしないで攻者が一人でもっとも合理的に投げられた形を行う。守者は敢えて何もしないことで自分の「思い込み」に気づくことができる。従来の誘導法と区別する意味で、超誘導法とでも言ったら分かり易いだろうか。

一人がもと立ちとなって全員が掛かり稽古のように腕を捕りに行く。中には攻者の投げられる形に無理のある人もいるが、回数を重ねることで最も自然な形へと修正されていくと思われるので、細かいことは気にしない。そのような意味では投げられる攻者にとっても練習と言える。数をこなし、他人の動きを見ることでどんどん無理の無い形に変わっていく。

ちょうどそんな練習をしている頃、吉四六先生が会場についた。懐かしい。少し太られたろうか。。。

おととしの鮫川合宿で吉四六先生に技を掛けられた時は正直ビックリした。上手かったのだ。しかも何か懐かしい匂いのする掛け方をしてくれる。昔入門当時に読んだ数々の本で、想像した感覚が甦ってくるような技を掛けるのだ。今回は短い練習時間であれもこれもやりたかったけれど、せっかくこんな先生が来てくれたのだから、これは吉四六アワーにしなければもったいないというものだ。
吉四六先生の準備体操が終わるまで、今しばらく「投げてみる」を体験しながら待つことにしよう。

次は上膊捕のように相手が掴んでくるという想定で、その勢いを利用し今やった巻小手のように相手の身体を崩して投げる応用例をやってみた。春一さんの8歳の娘=ミナちゃんも興味ありそうにしている。せっかくだから体験してみよう。最初こそちょっと戸惑いぎみだったが、要領さえ掴めばミナちゃんはむしろ大人より良いタイミングできれいに相手を転がした。

■2年ぶりの吉四六先生

ウォーミング・アップをしているところに「先生、そろそろいいですか?」と僕は声を掛けてしまった。ちょっとせっかちだったろうか。吉四六先生は(おい、もうかよ?)と言わんばかりに顔を上げたが、すぐにこやかに笑って腰を上げた。ここからは生き字引のような吉四六先生に質問が集中していくのだが、その中で僕の記憶に残っている部分のみ覚書を兼ねてここに書いてみることにする。

送小手親指攻め:
送小手と言えば手首関節の遊びを取って極めるか、相手の力を逆用して崩す投げ方をもっぱらとしていたが、吉四六先生の送小手は相手の親指を伸ばすようにして相手の体制を崩していた。上手く言葉にできないが関節を極めるのではなく筋がピンとはるような感じで崩された。


逆小手二点攻め:
同様に逆小手も大拳頭を攻めると同時に親指を伸ばすように攻められた。2点攻めだが、攻めるといっても関節をギチギチ固めるわけではない。屈筋の作用が殺されるようで簡単に腕の遊びが取られ、肩、上体と崩されていくような感じがした。


振捨表投:
順番は覚えていないが振捨表投に関しても教わった。「多くの人はできないというが出来ないのでなくて、途中でやめてしまっている」と吉四六先生は言う。そこで吉四六先生は誰かに振捨表投を掛け途中で止めた。確かに良く見る詰まった形だ。しかしそこから一歩下がるようにして手首を引いた。
すると相手の身体は宙を舞った。そういえばそんな形で投げている高段者の映像を見たことがあったっけ。そうか、こんな感じで投げていたのか。


伏虎地二:
伏虎地二の解説では頭の位置にポイントがあった。片膝ついたままややオーバーかと思うぐらいに振り身を行うことで自分の上段を安全な場所にキープするのだという。なるほどこれも虚実の応用と言えよう。

錯覚を利用する技としてもう一つ教えてくれたのが順蹴地三だった。吉四六先生はロングさんと組んで技を見せるのだが、ロングさんが二連突をしようとすると大きく間合いを切られている。横で見ていればネタは分かるのだが、当のロングさんには不思議に見えるようだ。なるほど、こんな虚実も有りか。。。


居捕:
居捕に関しては2点ビックリすることを学んだ。まず片膝立てる足だ。僕は今まで右手を捕まれたら右膝をたてていた。それは逆だと言う。左膝を立てるのだと言うのだ。根拠として吉四六先生は片膝立ちの姿勢から立ち上がった。その姿は良く見かける鈎手の姿をしていた。
アイタ〜、確かに右手で鈎手をする時は左足が前だ。右足前では鈎手が簡単に崩れてしまう。居捕の足捌きなどいい加減に覚えている人、結構多いのではないだろうか。。。

もう一つ驚いたことは相手に手を引かれたら、その力を利用して守者は立ち上がるのだという。えっまさかと思った。僕は居捕とは最後まで座ったまま技を掛けるのだと思っていた。正直にそう言うと、吉四六先生は「今は差別用語だから言ってはいけない言葉になってしまったが、開祖は居捕になってもxxxなるなと言ってました」と教えてくれた。

合掌送捕:
僕が習ったやり方と、教範の写真が明らかに違ったのだ。僕は原型の合掌送捕を知りたかった。ところが吉四六先生、これについてはどちらでも良いと言う。えっと思っていると、合掌の送りさえ出来ていれば、と言いながら人差し指を極められた。この極め方は送四指捕と一緒だと言いながら指を極めるのだが、僕が教わって普段やっていた四指捕とも違う。極め方が別ものだった。吉四六先生曰く「裏拳頭を攻める」という。後日支部の練習でやってみたが、この極め方はいまだにできない。

他にも二人抜きなどを見せてもらうことができた。


固め技各種:
真竜が苦手な固め技関係を聞いていた。まずはオーソドックスな裏固だ。片足を前三枚にあて、そのままスネを後三枚に当てた。1点2点と極められ、それから肩だ。丁字を当て腕が垂直になるかのように起こす、同時に守者のうめき声か聞こえた。

教範で開祖が自分の手を使わず相手を踏んで固めている写真を見たことがある。吉四六先生ならもしかして、そんな技も知っているのではないか。そう思って聞いてみたら吉四六先生は実際に掛けてくれた。

「裏固から持っていきます」そう言って僕の手が緩まないようにして床に押さえつけた。ちょうど顔は反対側を向かされているので良く見えなかったが、足で更に手を極めるようにして踏みつけられた。僕は動けない。吉四六先生は「三角固と言います」と教えてくれた。


立ち方、座り方:
何気ない動作の中にも少林寺拳法はある。座る時には左膝を後ろについてから右膝を畳むのだが、左膝をついたときにも隙が無い。よく見ると右手が太もものところで一字を作っている。まるで伏虎構で腰を上げたような姿勢だ。立ちあがる時も立てた右足の太ももに一字、支えている左足の太ももにもう一方の手が添えてあり隙が無い。その形が白々しくなくいたって自然なのには驚いた。


  *前回の吉四六先生参加の交流会の様子はこちらから。

■書は言を尽くさず、言は意を尽くさず

実戦用押受突

ゴッツーン!

夕食準備

夕食開始!

ハジコン君の予行演習

そんな貴重な数々の技を見せてもらいつつ、あっという間に練習時間は終わってしまった。夜もお誘いしたところ快く了承。今夜は一緒に泊まってくれることになった。

道衣から着替えながら吉四六先生と雑談をした。吉四六先生は開祖の孫弟子にあたる。親は田村道明先生だという。その田村先生から2年前にFAXが来たらしい。なんでも田村先生がインターネットでe-研合宿のレポートの中に吉四六先生の顔を見つけたらしい。そんな旧交を温めるきっかけになれるからこんなホームページでもやっていて面白い。

さて、その吉四六先生が言葉を選ぶようにして僕に言った。「私は少林寺拳法の教えや技は面授面受が基本やと思う。これはどんなにコンピュータが進んでも絶対できない領域だと思うのです。開祖は『書は言をつくさず、言は意をつくさず』と言われてました」。
そのとおりだと思う。既に現在のスーパーコンピューターはトカゲの脳の性能があるという。ITの進歩は日進月歩なので数年後には人間の脳なみのコンピューターが登場するだろう。しかし、それは計算スピードの話であって、あくまで与えられた問題を解決するという範疇を出ていない。生き物のように問題を見つける能力、いわゆるクリエイティブな領域はからっきし苦手なのだ。

「おっしゃるとおりだと思います」僕は言った。「ネットだけで技や教えを伝えることは不可能でしょう。ただ、人と人をつなぐツールとしては有効だと思うのです。今回の合宿もインターネットが無ければ開催されてなかったでしょうし、青森から参加されてるりょっきーさんや、農水省のロングさんもネットを利用したからこそ知り合うことができたと思うのです」
吉四六先生は安心したように笑いながら頷いていた。

■実戦用押受突

宿の部屋でくつろぎなから吉四六先生が昔の話をしてくれた。「私は落ちこぼれだったんです」と言いながら入門当時の思い出話を聞かせてもらった。決して口が上手いというタイプではないが、どこか引き込まれるような話し方をされる。

どのように話が進んだか覚えてないが、「実戦用押受突」なんて技までご披露してもらえた。これは村のイベントの時・・・ある種のクジらしいのだが、若者の出会いの場だというので今で言うところの「くらぶ」のようなものだろうか、そんなところに遊びに行って、チンピラに絡まれた際などに使うのだそうだ。謝っているように見せかけて上段に突きを入れる技だ。
でも最後に言っていた一言が僕には印象的だった。「すんません」と言えることが一番大事なんだと、それさえ言えれば大概の争いは避けられると。

他にも傘の使い方なども教えてもらった。傘の使い方といっても雨の日に差すというのではない。もちろん喧嘩の際の利用法だ。「傘の持ち方をみれば、拳法をやっているか分かるんです」とも言われていた。

吉四六先生の話は面白い。別に無理に面白く話しているわけではないだろう。昔の少林寺には心がワクワクするようなエピソードが山ほどあるのだろう。まだまだ話を聞きたかった妻に声を掛けられた。鮫川の父兄が夕食の準備をしてくれている。僕ら外人部隊からも手伝い班を出すべきではないかという。なるほどそのとおりだ、「お話の途中ですが・・・」と言って、皆に切り出す。言いだしっぺの責任として僕は当然行かなくては行けない。残念だが吉四六先生の話はまた後の楽しみに取っておこう。

後日ロングさんから聞いたが、このときいろいろなコツを教えてもらっていたらしい。。。
ちょっと悔しい。

■柿の葉の天ぷら

食事会場は駐車場を挟んだ向かいにある体験館となる。厨房はお母さん方の戦場で僕の出番などなかった。どうやら子供達の遊び相手が僕の仕事らしい。

鬼ごっこの原型のような追いかけっこをした。ルールもいい加減だから終わりも明確でない。要は僕が永久に追いかけられるわけだ。なんとか休憩に持ち込んだと思っても、別の子が飛び掛ってくる。これは疲れた。とにかく疲れた。追いつかれると足払いや柔法で適当に転がして包囲網突破を図るのだが狭い体験館の広間ではすぐ囲まれてしまう。息つく暇が無かった。鬼のような衆敵闘法だった。

ひとしきり子供に弄ばれたころハジコンパパに助けられた。「のど渇いたでしょ」そう言う手にはビールが持たれていた。次の間の囲炉裏端で僕は一足お先にビールを頂くことができた。柿の葉の新芽の天ぷらなる珍味も味わうことができた。なんでも普通の渋柿の葉らしい。「柿の新芽は食べられるんですか?」僕が驚いて聞くと別の父兄が「この時期だったら、大体何の新芽でも食べられる」と教えてくれた。「でも、タラと間違えてウルシを食べると大変なことになるが」とも言っていた。

■夕食

夕食の献立はうどん。天ぷらは鮫川のご父兄が2時間掛けてあげてくれた。薬味のねぎは僕が刻んだ。子供達に呼ばれて、僕は子供達の間に座って一緒に食べた。こいつら可愛いぞ。高校生ぐらいになったらビッチリ乱捕りの仕方を仕込んだろうか。。。

父兄差し入れの栗おこわや刺身こんにゃくも美味しかった。

■夜の部

夕食後、子供達は父兄の持ってきてくれた天体望遠鏡で星の観察。大人たちは囲炉裏を囲んでの飲み会となった。りょっきーさんは今年も青森の幻の酒「田酒」を持ってきてくれた。春一さんは天狗舞の山廃を持って来てくれた。皆で炭火を囲んでグビグビとやった。

ハジコンパパが小ぶりの目刺しを網の上に乗せて焼きだした。かじると適度な塩気と脂がのっていて美味い。そういえば以前キャンプ仲間が言っていた。「旨味のもとは、塩と脂だって・・・」僕はその時(旨味のもとはアミノ酸だろう)と心の中で思ったが、この目刺しを食べる限り友人の言葉が数年の時を経ながらも説得力を持って僕に迫ってくる。

この魚は何かと聞いてみると「イワシです」ごく当たり前の答えが返ってきた。(イワシってこんなに美味かったっけ)僕は心の中で自分に聞いてみた。それに気がついたのだろうかハジコンパパが「イワシは小さいほうが美味いんですよ」と笑いながら教えてくれた。僕はこの時、今後小ぶりのイワシの一夜干しを見つけたら絶対買おうと心に誓った。

ハジコン君は明日の勉強会の予行練習だろうか、パソコンを使って既にまとめてあった少林寺拳法の学科研究を発表してくれた。

いい感じで夜が更けていった。0:02、早めの就寝。

■ゴミ問題を考える


朝の1コマ。ミナちゃんは
犬の散歩の夢がかなった^^

トップバッター・ハジコン君
「ゴミ問題を考える」

吉四六先生は
貴重な話を聞かせてくれた

僕からは「インターネット時代の
少林寺拳法バージョン2」を・・・
のどが渇いて目が覚めた。お酒を飲んだ翌朝はのどが渇く。しかし布団からでるのが辛くなるほど寒かった。そういえば、ここは東北だっけ。あとで聞いたことだが、昨夜は雪がチラついていたらしい。もっともさすがにこの状況は異常気象らしいが。。。

朝食はオープンサンド♪ 手作りのサンドイッチは素朴で美味しかった。

2日目の午前中は勉強会だ。トップバッターは今回も合宿の幹事を務めてくれた中学一年生のハジコン君で、テーマは「ゴミ問題を考える」だ。
ちなみに鮫川道院の皆は前日にゴミ拾いをやっているという。理論と実践の合わせ技だ。

中学一年の彼が愛用のノートパソコンを使いプロジェクターでチャートを投影しながらプレゼンテーションを行ったのには恐れ入った。凄いぜ、ハジコン君!

しかもチャートの説明に終始するのではなく、聴衆の皆と会話しながら2ウェイで進めていくところなどプロ顔負け。
内容も単に現状や問題点を指摘するにとどまらず、具体的に日常生活でゴミを減らす提案があったりと聞き応えのあるものだった。

最後に「皆さんで何か工夫していることはありますか?」とハジコン君が聞いたので、聴衆の中にいたロングさんは日頃の工夫としてマイバッグの話をしてくれた。僕は会社で自席のゴミ箱に仕切り板を入れ、燃えるゴミと燃えないゴミの分別を手元からやっていることを発表した。

■正義のために教えなさい

続く二番手は吉四六先生だ。もっとも吉四六先生の参加は直前に決まったので、小松先生が機転を利かせて急遽お願いしてくれたのだが。。。

もともと四国のご出身。本部期生69期で、偶然にも年齢も69歳とのこと。69期ということは少林寺開創6年目には入門していたということだ。田村道明先生の道場にお兄さん、従兄弟とともに入門したという。3人のうちでは一番弱そうだったが、当時はあまり娯楽もなく、少林寺拳法の練習が娯楽に感じたらしい。結局はお兄さんや従兄弟の方がやめられた後も一人稽古をつづけて、現在は八段。
「当時の仲間で今でも頑張っている友達は・・・」と言って出てきて名前は直島の上田先生と加藤義明先生だった。

「人生は田舎の一本道だ」とは開祖から聞いた言葉らしい。なぜ田舎なのだろうと思って続く言葉を待っていると、都会と違って田舎の道はくねくねしていてまっすぐではない、しかも長〜く続いているからだと言う。なるほど、それ以上の説明は要らなかった。

どんな文脈だったか覚えていないが、確かこれも吉四六先生が開祖から言われた言葉だったと記憶している。「正義のために教えなさい」。

■新バージョン

次は僕の番だ。こんな大先生の後ではちょっとやりづらいが、逃げるわけにはいかない。
5分くらいの休憩を入れ、その間に僕のThinkPadをプロジェクターに接続した。

今回のプレゼン・テーマは「インターネット時代の少林寺拳法」。だけど、今回参加された方の何人かには既に説明済みのテーマだ。そこで、データの更新、ストーリーの大幅見直しを行い「バージョン2」を今回発表する。

鮫川道院から20名の子供達が参加している。小学生にはちょっと難しいテーマだろうか。いやいや、彼らならきっとわかってくれるだろう。

難しいテーマが終わった後はご褒美だ。ちょっと面白ネタもやっておこうか。e-研でも公開している「構えのコツ」を説明した。これも断片的な情報を基にした仮説だから、八段の先生の前で披露するにはいささか気が引けたが。。。

最後にIBM支部で年初の鏡開式で説明した今年の活動方針のチャートを説明した。これは企画・計画時の参考にという意味合いが強い。

僕の役割が終わって聴衆側の席に戻った。ハジコンママがウーロン茶を運んできてくれた。気がつかなかったけれど数十分話をして喉が渇いていた。冷たいウーロン茶が美味かった。それにしても昼食準備で忙しい中、細やかな心使いに頭が下がる。

■締めは小松先生の法話


右脳左脳の使い方チェック

ロング兄さんはバーベキュー奉行
4人目のプレゼンテイターは鮫川道院長の小松先生だ。仕事の整法の知識を生かして身体と心の話をしてくれた。
イチローもネクストバッターサークルの中でやっている四股ストレッチの話、眼球の動きでチェックできる右脳左脳の使い方のバランス、オーリングテストなど楽しい実験を交えながらの話が続く。最後に食の話へとたどり着いた。菜食が健康に良いのでお勧めらしい。

小松先生の話が終わるとともにバトンタッチするかのごとく飛び出してきたのは農林水産省に勤務するロングさんだった。誰かの発表を受けて他の参加者が意見や疑問を述べる。なんかシンポジウムっぽくていい♪

ロングさんは先ほどの小松先生とはまた違った視点で食の話をしてくれた。歴史的な背景を踏まえながら酪農の意義を聞くことが出来た。牧草そのものを食べても人間の栄養にならないが、畜産という過程を踏むことで人の栄養となる肉に変わるのだという。
う・・・ん、いまさらながらに勉強になる。

さすがに小学校低学年の子達にはちょっと難しい話が続いたかもしれない。2,3人机に突っ伏して寝ていた。でも、騒いだりせず、退屈でも静かにしているところなど都会の子達よりもよっぽどしっかりしている。大人たちから注がれる愛情量の違いのなせる業だろうか。

■やっぱ焼肉でしょ!

昨日の13:00に始まった合宿は今日の13:00までの予定だ。1泊2日とは言うものの、実は24時間しかない。それにしても充実した時間だった。全然少林寺拳法の合宿っぽくはないのだが、それもまたいいだろう。拳法技術に関しても新たな発見があったし、勉強会でも新しいことを学んだし、支部や地域の壁を越えた拳士同士の交流もできたし・・・なにより楽しかった♪

「お待たせしましたっ!焼肉です」ハジコンパパが満面の笑みで言う。皆で二つの囲炉裏を囲む。ハジコンパパや小松先生が網の上に豪勢に肉を落としていく。豚カシラの串そして、牛肉。これらも地元の農家から分けてもらったお肉だろうか。飾りっ気のない、お肉だが、柔らかくて美味い。焼肉のたれをつけるなんて勿体ない。素材の味だけで十分勝負できる。僕は塩コショウだけで食べた。肉汁がたまんない。体重が気になるが、硬いこと抜きだ。止めようったって止まらなかった。

■健康人のための整法

囲炉裏を囲んで吉四六先生がまた、昔の話を聞かせてくれた。こんな吉四六先生なら整法についてもお宝情報を持っているかもしれない。現在行われている整法はいろんな方の工夫が入っていてどこまでオリジナルか分からない。中には頭をひねりたくなるものまである。別に他を排除しようという気はないがオリジナルを知っておきたいと思うのだ。僕は開祖の整法について聞いてみた。

開祖の整法は「健康な人が、健康になるための整法」だったという。一例として胃の洗浄方法を教えてもらった。別に難しいことはないが、前の晩飲みすぎて胃がもたれたなんて時にやる方法だ。朝目が覚めて一番に寝たまま10回ほど、胃をゆっくり深く押す。そして食塩水を飲み、お腹を時計回りにさするのだそうだ。細かいコツはまだあるが、大まかに言ってしまえばそんな感じだった。
僕はおまじないのような民間療法は嫌いだ。思わず聞いてしまった。「なんの意味があるんでしょうね」


昼食後、囲炉裏を囲んで・・・
すると吉四六先生は両手の指を組んで見せ、「胃の中はこんなふうになっているそうです。押すことでこのシワをのばすらしいです」という。シワの間に挟まっている食べ物カスやアルコールと胃酸の混じりものを押し出し、体液に近い浸透圧の生理食塩水で洗い流す。お腹を時計まわりにさするのは腸のぜん動運動を助ける意味がある。また、朝一番でやるのには、まだ内臓が目を覚ます前に行うことでカスが腸から吸収されず排泄されるからではないだろうか。健康の秘訣として朝一杯の水を飲む人がいるが同じだろう。 なるほど、そう考えると大変理にかなっているような気がした。

しかし吉四六先生は同時に、開祖自身はかなり複雑な整法も施していたとも言われていた。どんなものだったのだろう。興味は尽きないが今となってはなかなか知るすべもない。
その後、技の話まで飛び出し、吉四六先生は実演しながら説明してくれた。
いろいろ貴重なお話が聞けたがまだまだ時間が足りない。こんど小名浜に遊びに行こうと思った。

■大成功?

名残惜しいがそろそろ時間だ。皆で一斉に作務を行った。パンダ研究会さんが筋肉痛だと言う。実は僕も大して練習はしていないが全身筋肉痛だった。 理由は分かっている。鮫川の子供達がよじ登ってくるからだ。こちらの子供達は元気だ。ちょっと油断していると僕らの身体によじ登ってくるのだ。体重15キロとしても15キロのバーベルを担いだままエアロビをやるようなものだから、普段ウェイト・トレーニングをしてない僕らは間違いなく筋肉痛になる。
だけど心地よい疲れでもあった。

時計の針はとっくに午後1時を回っていた。吉四六先生がディアマンテに乗って帰っていかれた。りょっきーさんはこれからまた7時間掛けて青森まで帰る。昨夜はこの鮫川村でも雪が舞ったが、りょっきーさんが青森を出る時も雪が降っていたらしく、りょっきーさんのミニは跳ね上げた消雪剤でなかなかワイルドな化粧がされていた。

りょきーさんに断って、ミニの運転席に座らせてもらった。ミニの車内は外から見るより大分広い感じがする。おそらく居住空間を広く取るような工夫がされているのだろう。そのせいかハンドルとイスの中心がちょっとズレた位置にセットされている。初めてハンドルに手を掛けた僕にはちょっと違和感があった。

りょっきーさんとは年に2回ぐらいしか会わない。でも、ネットが無ければ一生会わなかったかも知れない。現在の「あたりまえ」は多くの偶然の上に成り立っているのかもしれない。でもせっかく出来た縁は大事にしたい。出来れば今度青森にも遊びに行きたいと思った。

東京に向かう車の中で、今日の午前中行われた勉強会について妻に言われた。ごみ問題、少林寺昔話、IT利用の可能性、心身一如の話、幅広くバラエティに飛んだテーマで予想以上に良かったと言う。
改めて振り返ると確かに面白いシンポジウムだった。手作りだから面白いのかもしれない。義務じゃないから面白いのかもしれない。支部運営や職場に生かせるヒントをいっぱい貰ったような気がする。


鮫川村のデッカイ青空の下で♪

■ 追って書き ■

会報少林寺拳法6月号にちょっと気になる記事があった。「原点に帰る 番外編」(56ページ)坂下先生の文章の中に出てくるのだが、少林寺拳法50年史にも登場した一期生のOBの方の話として「先生(開祖)が、『技の秘訣は親指にある』と言っていた」というものだ。

今回のe-研合宿レポートの3回目「2年ぶりの吉四六先生」のところで、送小手や逆小手で親指を伸ばして技を掛けられたと書いたのだが、まさにこのことではなかったかと思ったのだ。
なんか、また符合が一致したような気がした♪



■ゼンジロウさんの感想

今回合宿に参加されたゼンジロウさんから頂いた感想文です。ゼンジロウさんお疲れ様でした。
<環境>

勿来インターから1時間ほどで目的地のトレーニングセンターへ到着する。まわりの環境は想像していた感じ。千葉県にも似た感じの場所はあります。道路は信号も車も少なく、お店も見当たらないので、買い物はたいへんそう。この日関東も気温が低いらしいが、ここでの外気温は7℃かなり寒い。でも空気は澄んでいて星が綺麗なところであった。
<練習>

現地の鮫川道院の方含めて集まったメンバーで軽く自己紹介して準備運動を行う。K先生お勧めの四股を踏んで肩をいれる運動で片足あげてのstop3秒はバランスが必要だ。Mさんをおんぶしてだと数段難しくなるが、面白い(確かにイ○ローもやっていたシーンを思い出す)お話しによるとこの運動だけで頚椎から下が矯正されて疲れた体によいそうだ。

続いてマットを引いて投げる練習と投げられる練習を行う。この練習はした事がなかったが、やってよかったし今後の技の習得にもとてもためになると思う。

F先生登場。普段着では気づかないが道衣を着て技をかけられる動きはとても機敏で瞬発力でも若い人には負けないとおっしゃられていたが確かに見ていてそう思う(さすがは達人)
数名の拳士から技の質問を受けてわかりやすく説明された後、皆で実戦してみる。また両手を引っ張られた時の反撃方法(まず2対1になる)などを練習している内に時間切れになってしまった。
<F先生との雑談>

F先生は練習での技と現実に当身をした時の技とでは違う場合がある。と言われていた。例えば相手の中段に逆突きが本当に入ると相手は倒れこみ顔は下向きになる。その際、練習では次の熊手突きは立った状態で行っているので横か下から上向きへ突くが現実にやったら上から下に熊手突きをする事になる。と言われていた。
また、いくつか相手から捕まれた場合の対処法などを実戦して見せていただいた。夕食の準備のため、これを聞けたのは4人だけでとてもラッキーでした。

また、本当の技は面授面授でないと伝わらないとおっしゃられていた。
*面授 (辞)文章などで広く教えるものではない重要な教えを、師から弟子へと直接伝授すること
<勉強会>

ごみ問題についてH君から、PCを使ったプレゼンもよいし資料内容がよく問題についてまとめられている。ごみを減らすために誰でも出来る具体的な例を示してくれたのもたいへんよかったです。H君は明るく礼儀正しく、自分が同じ年の頃と比べると大違いで関心しました。

次に支部長よりインターネットを利用した少林寺拳法の利点などについて、視聴者は小学生が多かったが社会がIT時代になってきたところらへんから話してもらえたので子供達にも理解できた事と思う。(既に、ここの地域の小学生でもPCからインターネットやメール送信なんかしている)

次にK先生より教育で人間の調整(?)が必要だというお話し。Oリングテストからいろいろ診断できるという事。○乳は分子構造が人間と違っているのでよくないなどの話しはとても興味深いものがありました。
<その他>

手作りの食事はおいしかったし楽しかったです(食事の準備してくださった皆さんへ感謝します)
またF先生をはじめたくさんの人と知り合いになれた事、子供達と触れ合う事が出来てたいへん楽しい合宿でした。

■春一さんの感想

合宿に親娘で参加された春一さんからの感想文です。ありがとうございました。
e-研のサイトを見ていて、e-研福島合宿について、思い出していた。
こうやって、記録が残っていると、いつでも振り返ることができていい。振り返りながら、この合宿を、あらためて思い返していた。

実は、どれから書こうか迷っているうちに、この合宿について書くタイミングを逸してしまった。それが、喉に刺さった魚の骨のような感覚で、私の心の中に残っていた。

今日は、その魚の骨をとってみようと思う。


【1】ミースケが人見知り!?

体育館についてから、丸くなって自己紹介。娘のミースケの番になると、恥ずかしがって、自己紹介ができない。

こういう人見知りをしないのが取り柄だったのに、意外だった。初対面の人たちの前で、堂々とできるように育てたつもりだったが、残念。


ミナちゃんと春一さん う・・・ん、いい絵だ

【2】20年ぶりに謎解明

練習の途中で、吉四三先生がいらっしゃった。体はそんなに大きくないし、優しそうな目をしている。耕していた田んぼから出てきたばかりの農家のおじいちゃんといった風貌の好々爺だ。

道衣を着て、準備体操をしてから、指導をしていただいたが、技が正確だ。無駄な力が入らない突きが一直線に正確に急所に向かって飛んできて、同じ軌跡を通って戻っていく。殺気立たずに、それを平然とやる。こういうのが平常心なのだろうか?

開祖が教えた初期の技を指導してくれたが、合理的な点に納得した。今回、一番、納得できたのが、伏虎地二だ。この技は学生の時に演武に取り入れたので、特に思い入れが深い。当時、「蹴りを腕で受けることなんてできるわけがない。でも演武だからやらなきゃならない。」と無理やりやっていた技だ。左足に体重をかけ、外受けし、さらに体を左によけながら内受けしていたが、体が左に傾いてやりにくかったのだ。

吉四三先生は、右足に体重をかけ、右手で外受け、左に体をよけながら、つまり正面に戻るった状態で、左手で内受けをするのが本来だとおっしゃる。なるほど、これだと体捌き方がスムーズだし、蹴りを受けることも十分可能だ。
学生の時に思っていた疑問が解消した。

少林寺拳法草創期の頃は、技を習うと街に出て、実戦で試したという。そうして、技術が向上していったようだ。それが、演武中心になるにつれて、「見た時の美しさ」が重視されるようになり、技本来の目的や意味が失われてしまったように思う。
【3】美しい星空

練習後、バンガローに移り、夕食だ。ご父兄の方々が、夕食を作ってくださるので、私たちも手伝う。しかし、普段調理しなれていない私がやろうとしても、かえって足手まといだ。明竜さんが意外なことに、とても料理上手だとわかった。この人は奥が深い。

食事の後、天文台の先生に用意していただいた天体望遠鏡で、天体観測だ。
鮫川は、日本でも三本の指に入るほど星空が美しい所だ。肉眼でも星がたくさんよく見える。東京では、せいぜい1等星と2等星しか見えないが、ここでは小さな星までよく見える。

黄道12宮の星座たちが並んでいる。初めて、「黄道」の意味がわかった。黄道とは、太陽の通り道、という意味だが、鮫川の夜空を見ていると、太陽の通り道というのを実感した。ギリシア神話では、太陽の馬車が黄道を通ることになっているのだが、馬車が通る道が見えた!もちろん、本当に見えたわけではなく、イメージが頭の中で重なったのだ。おそらく、古代人は、こういうふうに夜空を見上げながら、いろいろな想像をしながら、話をしていたのだろう。

これだけ星があると、いくらでも話を作ることができそうだ。そうやって作った話のごく一部が現代まで残っているのだろう。

天体望遠鏡では、月や火星、木星、土星を見た。輪が見える星、土星は大人気だ。子供達もたくさん集まってくる。吉四三先生が、きらきらした目をしながら、望遠鏡の傍に寄ってきた。その好奇心に満ち溢れた目の輝きは、周りの少年達と全く同じだ。50から60歳くらいの年齢差−時間−を超えて、少年達と吉四三先生がつながったような不思議な感覚がした。
【4】ミースケ

最初の自己紹介では失敗したが、ミースケは、受身の練習にも参加し、その後、友だちもできたようで、私の見ていないところで友だちと話したり、遊んだりしていた。
念願の犬の散歩もしたようで、楽しんだようだった。
【5】おそるべしハジコン君のプレゼン

翌日は、講義だ。一番驚いたのはハジコン君のプレゼンだ。驚いたというより、衝撃的だった。プレゼンの内容もさることながら、立ち方、話し方、目線の置き方、質問の仕方、全ていい。

彼のプレゼンを聞いてから、今までいい加減だった分別回収を少しまじめにやるようになった。コミュニケーションは、相手に動いてもらった時に、はじめて、「通じた」と言えるそうだ。そういう意味では、ハジコン君のプレゼンは、私の行動を変えたのだから、十分、「通じた」のだ。

大人のプレゼンでもその場限りのものが多いが、ハジコン君のプレゼンは、心を揺り動かすものがあった。誰に教わったわけでもないのだろうが、上手だった。あと10年もすると、こんな人たちが新入社員として入ってくるのだろう。彼らは幼い頃からこうしてPCやプレゼンに慣れているのだ。こちらも年上として、彼らの大きな壁となるために、自分を高めておかないといけないなぁ、と思い知らされた。
【6】お礼

鮫川道院のご父兄の方々の尽力で、とても美味しい食事ができた。とても短い合宿だったが、とても楽しかった。また機会があればぜひ来てみたいと思った。

皆さんどうもありがとうございました。